対ニカラグア共和国 国別開発協力 方針
平成29年9月1日
平成29年9月
1 対ニカラグア共和国への開発協力のねらい
ニカラグアは,近年の好調な経済成長により,1人当たりの国民所得が2,000米ドルを超える状況となっている[1]。しかし,減少傾向にあるものの国民の約3割弱が貧困層に属し,都市部と農村部との貧困格差も依然顕著である。また,ハリケーンや地震といった自然災害に対する脆弱性[2],人口の約1/3が首都圏に集中することによる同圏内での交通渋滞・環境の悪化などが,同国の発展の障害となっている。
このような状況にあるニカラグアを我が国が支援することは,同国の開発課題の解決に貢献し,我が国開発協力大綱の重点課題である「質の高い成長とそれを通じた貧困撲滅」及び「地球規模の課題への取組を通じた持続可能で強靱な国際社会の構築」の観点から意義がある。さらに,中米の中心に位置し中米最大の国土を有する同国の社会経済的安定は,中米統合機構(SICA)を中核にした地域統合の取組にとって重要な意味を有しており,中米の地域統合を後押しすることは、我が国の外交力の強化にも寄与する。
2 我が国のODAの基本方針(大目標):経済社会開発の促進と環境・防災への支援
ニカラグアの安定した経済成長を後押しするため,貧困削減と格差是正に焦点をあて,経済開発の促進に向けた基盤づくり及び貧困層・地域における社会開発への支援を展開する。また,我が国の技術・知見を活用した環境保全・防災への支援を行う。
3 重点分野(中目標)
(1)経済開発の促進に向けた基盤づくり
道路インフラ等,経済開発の基礎となる社会資本を整備し,同国の経済基盤の底上げを図る。また,技術協力を通じた同国の産業人材の育成や地域開発の担い手である行政やコミュニティの制度・能力の向上を継続的に支援し,都市部と農村部双方からのアプローチにより,将来に渡る安定的経済・産業発展の基礎づくりに貢献する。
(2)貧困層・地域における社会開発
地方農村部や首都圏貧困地区といった貧困層への支援として施設整備を含む初等中等教育及び保健医療・衛生の改善を図り,人々の生活の質の向上に貢献する。
(3)環境保全と防災
都市への人口流入による生活環境の悪化や気候変動の悪影響,頻発する自然災害に対する脆弱性に留意し,我が国が有する知見を活用した再生可能エネルギー,省エネルギーの導入,自然資源管理などによる環境保全分野や,災害リスクの軽減,災害発生時の対応などの防災分野における支援を実施する。
4 留意事項
ニカラグアを含む中米地域では,中米統合機構(SICA)の枠組みがあることに鑑み,二国間案件の実施に際しては,中米統合促進及び広域協力に留意する。
(了)
別紙:事業展開計画